THYROID
甲状腺の病気(バセドウ病・橋本病・甲状腺腫瘍)
「なんとなくだるい」「動悸がする」「体重が急に変わった」「首の前が腫れている」。こうした症状は、のどの下にある小さな臓器・甲状腺の病気が原因のことがあります。豊中市服部元町のかめいクリニックでは、血液検査と痛みのない甲状腺超音波(エコー)検査で診断し、内服治療の調整から長期の管理までを院内で継続して行っています。
ABOUT
甲状腺とはどんな臓器?

甲状腺は、のどぼとけの少し下にある蝶が羽を広げたような形の臓器で、重さは15〜20gほどしかありません。ここで作られる甲状腺ホルモンは、全身の細胞の代謝(体を動かすためのエネルギーの使い方)を調節する、いわば体のアクセルのような役割を担っています。
このホルモンは脳の下垂体から出るTSH(甲状腺刺激ホルモン)によって調整されており、多すぎても少なすぎても全身にさまざまな不調が現れます。ところがその症状は「疲れ」「更年期」「気分の落ち込み」「年齢のせい」と受け取られやすく、長い間気づかれないまま過ごしてしまう方が少なくありません。
甲状腺の病気は、血液検査と超音波検査というシンプルな検査で診断がつき、適切な治療によって多くの方が元の生活を取り戻せます。女性に多い病気ですが男性にもみられ、20代から高齢の方まで幅広い年代で起こります。健診で「TSHの値に異常があります」「首のエコーでしこりを指摘されました」と言われた方も、どうぞご相談ください。
SYMPTOMS
こんな症状はありませんか

甲状腺の病気の症状は、ホルモンが多すぎる場合と少なすぎる場合でほぼ正反対になります。当てはまるものがある方は、一度検査をおすすめします。
ホルモンが多すぎるとき(甲状腺機能亢進症)
- じっとしていても動悸がする、脈が速い
- 汗をかきやすく、暑がりになった
- 手が細かくふるえる
- 食べているのに体重が減る
- イライラする、落ち着かない、眠りが浅い
- 疲れやすい、階段で息が切れる
- 眼が出てきた感じがする、まぶたが腫れる、物が二重に見える
- 便の回数が増えた、軟らかい
ホルモンが少なすぎるとき(甲状腺機能低下症)
- 強いだるさ、気力が出ない、日中の眠気
- 寒がりになった
- 顔やまぶた、足のむくみ
- 食欲がないのに体重が増える
- 便秘、皮膚の乾燥、髪が抜けやすい
- 声がかすれる、低くなった
- 気分の落ち込み、物忘れ、動作が遅くなった
- コレステロール値が高いと指摘された
- 脈が遅い
- 生理が重い、生理不順、不妊
甲状腺の腫れ・しこりがあるとき
- 首の前側が全体的に腫れている(びまん性甲状腺腫)
- 首にコリコリとしたしこりが触れる(結節・のう胞)
- 健診の頸部エコーで甲状腺の腫れやしこりを指摘された
- のどの違和感、飲み込みにくさ、首の圧迫感
- 首の前が痛い、押すと痛む、発熱を伴う(亜急性甲状腺炎の可能性)
DISEASES & TREATMENT
主な甲状腺の病気と治療方法
甲状腺の病気にはいくつかのタイプがあり、同じ「機能低下」でも原因によって治療の考え方が変わります。当院では血液検査と超音波検査で原因を見極めた上で、必要な治療をご提案します。
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
甲状腺を刺激する自己抗体(TRAb)ができてしまい、甲状腺ホルモンが過剰に作られる病気です。20〜40代の女性に多くみられますが、男性や高齢の方にも起こります。動悸・体重減少・発汗・手のふるえ・イライラ・眼の症状(眼球突出)が特徴で、放置すると心房細動や心不全、骨がもろくなる原因にもなります。
治療方法
- 抗甲状腺薬(内服):チアマゾール(メルカゾール)やプロピルチオウラシルでホルモンの合成を抑えます。多くの場合、2〜3か月で症状が落ち着き、その後は少量で維持します。数年かけて薬を減らし、中止できる方もいらっしゃいます
- 副作用の確認:飲み始めの数か月は、発疹・肝機能の変化・白血球の減少(無顆粒球症)などが起こることがあるため、こまめに採血で確認します。強いのどの痛みや高熱が出た場合はすぐにご連絡いただくようお願いしています
- 症状をやわらげる薬:動悸が強いときはβ遮断薬を併用します
- アイソトープ治療・手術:薬が合わない方、再発をくり返す方、甲状腺が大きい方には放射性ヨウ素による治療や手術が適しています。当院から専門医療機関へご紹介し、治療後のホルモン調整は当院で継続できます
- 妊娠・授乳をご希望の方:時期に応じて使用するお薬を選ぶ必要があるため、産科と連携しながら計画的に管理します
橋本病(慢性甲状腺炎)・甲状腺機能低下症
甲状腺に慢性的な炎症が続く自己免疫の病気で、日本人女性の10人に1人程度にみられるといわれます。橋本病があっても、ホルモンの値が正常であれば治療は不要で、定期的な検査で経過を見るだけのことも多くあります。炎症が進んでホルモンが不足すると、だるさ・寒がり・むくみ・体重増加・便秘・コレステロール上昇などの症状が出ます。
治療方法
- ホルモンが正常な場合:治療はせず、半年〜1年ごとの採血で経過を確認します。妊娠を希望される場合は、より慎重に管理します
- ホルモンが不足している場合:甲状腺ホルモン薬(レボチロキシン=チラーヂンS)を少量から補充します。足りない分を補うお薬なので、適切な量であれば副作用の心配はほとんどありません
- 量の調整:開始後は4〜8週ごとに採血し、TSHが目標範囲に入るよう調整します。安定すれば3〜6か月ごとの通院になります。心臓に負担のある方や高齢の方は、さらにゆっくり増やします
- 飲み方の注意:朝の空腹時に飲むと吸収がよく、鉄剤・カルシウム剤・一部の胃薬とは時間をずらす必要があります。飲み合わせも診察時に確認します
- ヨウ素の摂りすぎ:昆布やヨウ素を含むうがい薬の過剰な摂取が機能低下の原因になることもあり、食生活も一緒に見直します
亜急性甲状腺炎・無痛性甲状腺炎
亜急性甲状腺炎は、ウイルス感染などをきっかけに甲状腺に炎症が起こる病気で、首の前の強い痛みと発熱、一時的なホルモン過剰が特徴です。無痛性甲状腺炎は痛みを伴わず、橋本病の方や産後に起こることがあります。いずれも一時的な経過をとることが多く、バセドウ病とは治療法が異なるため、正しい見分けが重要です。
治療方法
- 亜急性甲状腺炎では、痛みと炎症に対して消炎鎮痛薬、症状が強い場合はステロイドを用い、数週間から数か月で改善します
- 無痛性甲状腺炎は基本的に経過観察で、動悸が強いときのみβ遮断薬を使用します。抗甲状腺薬は使いません
- いずれも回復の過程で一時的にホルモンが不足する時期があるため、採血でフォローします
甲状腺の腫れ・しこり(甲状腺腫・結節・のう胞)
甲状腺のしこりは非常によくみられ、その大部分は良性です。健診の超音波検査で偶然見つかることも多く、まずは大きさや形、内部の性状を超音波で詳しく確認することが大切です。
診療の進め方
- 超音波検査で、しこりの形・境界・内部の状態・血流・大きさを評価し、良性らしいか、精密検査が望ましいかを判断します
- 経過観察でよい場合は、6か月〜1年ごとの超音波検査で大きさの変化を確認します
- 悪性の可能性を否定できない場合や大きくなってきた場合は、穿刺吸引細胞診(細い針で細胞を採る検査)が可能な専門医療機関へご紹介します
- 手術が必要と判断された場合も、術後のホルモン補充や定期フォローは当院で継続できます
妊娠を希望される方・産後の方へ
甲状腺ホルモンは妊娠の成立や胎児の発育に関わるため、妊娠前・妊娠中は通常より厳しめの目標でホルモンを管理します。また産後3〜6か月ごろに一時的な甲状腺機能の変化が起こることもあります。妊娠をご希望の方、産後に強いだるさが続く方は、遠慮なくご相談ください。必要に応じて産科・専門施設と連携して管理します。
EXAMINATION
当院で行う検査
血液検査(ホルモンと自己抗体)
TSH(甲状腺刺激ホルモン)、FT4、FT3を測定して甲状腺の働きを評価します。異常があれば、原因を調べるために自己抗体(TRAb、TPO抗体、サイログロブリン抗体)や、炎症の程度を示す検査を追加します。あわせてコレステロールや肝機能、血球の状態も確認します。
甲状腺超音波(エコー)検査
首にゼリーを塗って機器を当てるだけの、痛みのない検査です。数分で終わり、放射線を使わないため被ばくの心配もありません。甲状腺の大きさ、炎症の程度、しこりの有無とその性状、血流の状態まで詳しく確認できます。当院ではリウマチ診療で関節超音波検査を日常的に行っており、超音波検査に慣れた体制で対応しています。
触診・全身の評価
首の甲状腺を実際に触れて大きさやしこり、痛みの有無を確認します。あわせて脈・血圧・体重の変化、むくみ、手のふるえ、皮膚や眼の状態など、全身の所見も確認します。
専門医療機関との連携
穿刺吸引細胞診、アイソトープ検査・治療、手術、眼の症状に対する治療などが必要な場合は、適切な専門医療機関へご紹介します。診断や治療の方針が決まった後の内服調整・定期フォローは、当院で続けていただけます。
※検査内容は症状や状態により異なります。健診結果や他院での検査データをお持ちの方は、ご持参ください。
FLOW
受診から治療までの流れ

1. 問診・診察
気になる症状の経過、ご家族に甲状腺の病気の方がいるか、服用中のお薬(ヨウ素を含むうがい薬やサプリメントも含みます)などをお伺いし、首の甲状腺を触れて確認します。
2. 血液検査・超音波検査
その日のうちに採血と甲状腺超音波検査を行います。ホルモンの値と甲状腺の形の両方を確認することで、どのタイプの病気かを見極めます。
3. 診断とご説明
検査結果をもとに、病気の種類、治療が必要かどうか、経過観察でよいのかをわかりやすくご説明します。橋本病でもホルモンが正常であれば、定期的な検査だけで済むこともあります。
4. 治療の開始
ホルモンが多い場合は抗甲状腺薬などで働きを抑え、少ない場合は甲状腺ホルモン薬を少量から補充します。いずれも内服が中心で、体調と採血結果を見ながら量を調整します。
5. 定期的なフォロー
治療開始後はしばらく1〜2か月ごとに採血で調整し、安定すれば3〜6か月ごとの通院に移行します。多くの場合、症状は数週間〜数か月で落ち着いていきます。生活習慣病で通院中の方は、同じ受診でまとめて管理できます。

甲状腺の病気は命に直結しないと思われがちですが、ホルモンの異常が長く続くと全身に影響が及びます。
- ホルモン過剰が続く場合:心房細動などの不整脈、心不全、骨密度の低下(骨折しやすくなる)、体重減少と筋力低下
- ホルモン不足が続く場合:コレステロール値の上昇と動脈硬化、心機能の低下、貧血、強い眠気や意欲の低下、まれに重い意識障害
- 妊娠に関わる影響:不妊、流産や早産のリスク上昇、胎児の発育への影響
- 生活の質への影響:うつ症状や認知機能の低下と間違われ、適切な治療を受けられないまま過ごしてしまう
いずれも、ホルモンを適切な範囲に戻すことで改善が期待できます。気になる症状がある方は、まず一度の採血からお試しください。
FAQ
よくあるご質問
健診で「甲状腺の数値に異常がある」と指摘されました。相談できますか?
はい、ぜひご相談ください。健診結果票をお持ちいただければ、TSHやFT4の値をもとに追加で必要な検査を判断し、当日に採血と甲状腺超音波検査を行うことも可能です。
甲状腺の検査は痛いですか、時間はかかりますか?
基本の検査は採血と超音波検査のみです。超音波検査は首にゼリーを塗って機器を当てるだけで痛みはなく、数分で終わります。着替えも原則不要です。
首にしこりがあります。がんではないか心配です。
甲状腺のしこりの大部分は良性です。まず超音波検査で形や内部の状態を詳しく確認し、精密検査が望ましい場合には細胞診が可能な専門医療機関へご紹介します。自己判断で様子を見るより、一度調べておくことをおすすめします。
甲状腺ホルモンのお薬は一生飲み続けるのですか?
病気の種類によります。橋本病による機能低下では長期の補充が必要になることが多い一方、バセドウ病の抗甲状腺薬は数年で中止できる方もいます。亜急性甲状腺炎などは一時的な治療で済みます。
だるさや体重の変化があるのですが、更年期や年齢のせいでしょうか?
更年期や加齢による変化と、甲状腺の病気の症状はよく似ています。採血一つで区別がつくため、気になる場合は調べておくと安心です。
妊娠を考えています。甲状腺の検査は受けたほうがよいですか?
甲状腺ホルモンは妊娠の成立や胎児の発育に関わります。ご家族に甲状腺の病気の方がいる場合や、これまでに異常を指摘されたことがある場合は、妊娠前の確認をおすすめします。
他院で治療中ですが、通院を移すことはできますか?
可能です。紹介状やお薬手帳、直近の採血データをお持ちいただければ、これまでの治療を引き継いで継続します。
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