かめいクリニックでは、リウマチ専門医による関節リウマチ診療を行っています。今回は、新薬の研究開発がめざましい、生物学的製剤とJAK阻害剤に分類される治療薬についてご紹介します。

 

前回、関節リウマチの治療薬の第一選択は抗リウマチ薬であることをお伝えしました。残念ながらこれらのお薬で効果が十分でない場合には、治療のステップアップを考えます。抗リウマチ薬は関節リウマチ診療を行っている内科や整形外科で広く用いられていますが、生物学的製剤やJAK阻害剤については内科系のリウマチ専門医が担うべきだと考えています。その選択、そして治療効果と副作用の確認にはリウマチのみならず内科全般に対する十分な知識と経験が必要だからです。

 

生物学的製剤やJAK阻害剤は、抗リウマチ薬よりも免疫応答に関わる物質をより特異的にブロックし、より強力に関節の炎症や破壊を抑える効果があります。それぞれのお薬は免疫応答の中で作用する対象によって細かく分類されています。剤型が異なっているのも特徴で、現在使用できるお薬では、生物学的製剤はすべて注射薬、JAK阻害剤は内服薬となっています。適応や投与方法、使用間隔、価格等と患者さんのライフスタイルを鑑みて、その方それぞれに最適な治療薬を選びます。どの薬剤にも共通することですが、①選択→②適正な運用→③効果と副作用の評価が重要です。より強力で専門性の高い薬剤になればなるほど、副作用についての目配りが欠かせず、治療の厳密さが求められます。

 

副作用としては、いずれ免疫応答を抑えることによる易感染性(各種感染症にかかりやすくなること)が第一に考えられます。帯状疱疹の他、健康な方であれば問題になりにくい菌やウイルスに感染したり、活性化してしまうことがあります。例えば、B型・C型肝炎ウイルスや結核菌などです。そのため治療を開始する前には、潜在的な感染がないかどうか画像や血液検査でチェックしておく必要があります。治療開始後も体調の変化に注意しながら、定期的に検査を行っていきます。インフルエンザ等予防接種が可能な感染症についてはワクチンの積極的にお受けになることをおすすめしています。COVID-19に対するワクチン接種についても推奨しておりますが、投薬内容によってはタイミングを調整するほうが良い場合がございますので、事前にご相談ください。

 

これらのお薬はこれまでにない強い効果が期待できる一方で、高額であることがデメリットとして挙げられます。薬剤や体格等による差はありますが、3割負担の方で毎月薬剤費のみで数万円以上必要なのが実情です。これに併用する薬剤や診療、検査費用が加わりますので、患者さんに経済的負担が生じてしまうことは否定できません。関節リウマチを少しでも良い状態にすることは大切なことではありますが、生活が成り立たなければ治療も継続できません。費用についてのご心配がある場合も、どうぞお気軽にご相談ください。なお、当院院長は難病指定医であるため、難病に認定された場合には医療費の公費補助が受けられます。クリニックを選ぶ際の一つのポイントにもなるのではないでしょうか。

 

ここまで各種治療薬について数回にわたり紹介してまいりました。関節リウマチと診断された方同士お話されたことがある方もいらっしゃると思います。そして、その治療内容は異なっていたかもしれません。治療はスタンダードを軸に個別性をいかに考えられるか、がポイントだと思います。同じ診断名でも、診断の経緯や病状、年齢や性別、仕事や生活環境がまったく同じということはないでしょう。やたらに強力な薬を使えばいいわけでもなく、逆に治療の選択肢を狭めすぎるのもナンセンスです。大切なのは、患者さんごとに関節リウマチの炎症が抑えられているのか?そのために必要な治療が何であるのか?です。周りと比べて不安になる前に、どうぞご質問くださいね。

 

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