かめいクリニックには、複数の医療機関を受診されている患者さんや、他院から転医してきた患者さんも多くいらっしゃいます。すでに処方を受けておられる患者さんの場合には、まず症状や病状を確認し、お薬の内容を改めて検討させていただいております。今回は、日常診療で出会うことの多い問題の一つ、お薬が多すぎる!=ポリファーマシーについてご紹介します。

 

 健康問題についての話題は(特にご高齢の方の間では)事欠きません。なかには、「私は◯◯種類もお薬をのんでるよ!」なんて自慢げに話されている方もお見かけします。当たり前のことですが、お薬は必要最低限・多すぎず少なすぎず、が一番です。ところが実際には、必要以上に処方・内服されている場合があり、これをpolypharmacy(poly=複数の+pharmacy=薬剤)=ポリファーマシー=多剤併用問題、と呼んでいます。

 

 たとえば、Bさん。腰痛が気になったので近くの整形外科を受診したところ、痛み止めを処方されました。何度か通院してずいぶん治まってきましたが、お薬はそのまま飲み続けています。長年通っているかかりつけのクリニックからは血圧、コレステロール、尿酸、胃薬…などなどこれまで指摘されてきた病気に応じたお薬が出ています(今年の健康診断は問題ない数値でしたけれど…)。春の花粉が多い時期には鼻炎が気になってきたので、耳鼻科でアレルギーの薬をもらいました。梅雨時になると今度はだるい…漢方薬局に相談してたっぷり調剤してもらってきました。…といった具合に、お薬がどんどん増えてしまっている方、おられませんか?もちろん必要だから出されたお薬ではあるのですが、ずっと飲み続けるべきでしょうか?問題が解決している・変わっている可能性もあるのではないでしょうか。

 

 2015年に日本調剤株式会社が行った「シニア世代の服薬の実態と意識」の調査では、高齢者の方の約25%が5種類以上のお薬を飲んでいたそうです。また、同年の日本老年医学学会からは、6種類以上の薬を飲んでいる方はお薬による有害事象(問題)が発生しやすいと発表されました(高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015)。薬の数が多くなると、飲み合わせ、飲み忘れ、飲み間違いといった問題が生じる可能性が高まります。体のために、と思って始めた薬が害になっていた、なんてことは笑い話にもなりません。

 歳を重ねると体の機能は変わっていきますから、お薬の必要量や内容は変わるほうが自然です。もちろん、抱えている問題は人それぞれですから、単に薬を減らせばいいという問題ではありません。その方にとって、この薬が本当に必要なのかどうかを検討していく過程が大切です。

 

 みなさんにお願いしたいことはお薬手帳の携帯です。お薬の内容を確認するためには役立ちますので、最新のシールを貼って受診の際にご持参ください。そして、もしもお薬を飲み忘れてしまう事が増えたり、わからなくなってしまった事があれば、遠慮なく相談してください。

 

 かめいクリニックではかかりつけ医として、患者さんの全体像を見る事を大切にしています。症状があるから薬を出す、これだけでは適切な医療とはいえません。きちんと理由をもって処方を行い、効果や副作用がないか確認し、必要性を都度検討していくことを心がけて診療にあたっています。もしご自身のお薬のことで不明なことがあれば、お気軽にご質問くださいね。

 

T.

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かめいクリニックは阪急宝塚線服部天神駅徒歩3分の場所にあるクリニックです。

内科・リウマチ科の専門医による総合診療を行なっておりますので、お困りの症状がある方はお気軽にご相談ください。

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